


「イメージした人や世界に
生命が吹き込まれる」
Vol.9
漫画家・イラストレーター
「筆記道具」
江口 寿史 さん
ここちよく生き る。あなたが輝く。
ラインアート シャルマン 15 周年 特別インタビュー企画

かがやきに充ちている人の傍らには、きっと最高の相棒が存在します。
素晴らしい相棒と一体になった時、人はどこまでも輝ける。
ラインアート シャルマンも、人に寄り添い、その人をより輝かせる“相棒”でありたい。
さまざまな分野で活躍するプロフェッショナル15人のお話から
“相棒”との一体感がもたら す、かがやきの秘密を紐解きます。
かがやきに充ちている人、そのひとのそばには、きっと最高のバディ達がいます。最適な相棒と一体になった時、ひとはどこまでも輝ける。ラインアートの想いも、そこにあります。人によりそい、輝きを増したい。
様々な分野で活躍するプロフェッショナル15 人にお話を伺いながら、一体感がもたらす奇跡と、かがやきの秘密を紐解いていきます。
ここちよさと生きる。あなたが輝く。
ラインアート シャルマン 15 周年
特別インタビュー企画
Vol.9
漫画家・イラストレーター
「筆記道具」
江口 寿史 さん

- 漫画に夢中になった少年時代
熊本県に生まれ、幼い頃から紙と筆記具さえ与えられれば絵を描いていたという江口寿史さん。
「物心つく頃から紙と鉛筆さえ持たせておけばずっと何かしらの絵を描いているような子供でした。父が新しもの好きで町内で初めてテレビを買ったような家でしたので、テレビにもハマりましたね。実写のヒーローものとかを見てはそれを描いたりしてました。そのうちに鉄腕アトムのアニメが始まるとアトムばかり描いていましたね」。
小学3年生くらいからは物語を考え、コマを割った漫画を描くように。
「その頃に描いていたのは、ほのぼの兄弟もの。他愛のないストーリーでしたが、それまでのようにただ絵を描くんじゃなく「漫画を描く」ことが重要で楽しかった。その後、父親の転勤で千葉県に引っ越して、中3くらいまでは漫画家になりたいという意識があったのですが、高校時代は吉田拓郎にハマってしまい曲づくりとギターにのめり込んでいきました。でも19歳くらいの頃かな、そっちの才能はないな、と自分で気づくんですね。そして自分には漫画があったじゃないか、漫画なら大丈夫な気がする、という、謎の自信がありました(笑)」。
1977年、21歳の時に約3か月かけて描いた『恐るべき子どもたち』が集英社の月例新人賞で入選。続けて赤塚賞というギャグの登竜門の賞でも準入選。同年秋からは『すすめ!!パイレーツ』の連載がスタートした。
「当時は漫画はこうであるべき、というのが厳しくて、作品の応募もペンに墨汁で描いたものしか受け付けてもらえなかった。ハタチくらいまでちゃんとペンで描いたことがなく、アシスタントや同人誌での経験もなかったので、プロになってからが苦労でした」。
- 目に見えない感情や時代感までも描き出す
1981年には大ヒット作『ストップ!! ひばりくん!』の連載が始まる。ファンの注目が集まる中、締め切りに追われるようになる。
「仕事をするのが嫌なわけじゃないんです。週刊で漫画を描くのがとにかく大変。今思えば週刊連載をやったことは良い経験にはなったと思いますが、当時はとにかく追われるのが辛かったです。漫画は私生活を犠牲にして世界を作らなければならない。覚悟がないとやれない仕事です」。
作画に費やす時間が一週間では足りなくなっていくことに悩まされる一方で、美しい線で描かれる登場人物たちの姿はどんどん人気が高まっていく。
「もともとギャグがやりたかったので、デビューの頃は絵に関しては実はそんなに興味がなかったのですが、「ジャンプ」が毎週行なっているアンケートで、女の子を出すとランキングが上がるんですよ。女の子を描けるのは自分の武器なんだな、と感じるようになりました」。
1990年頃には漫画からイラストへと仕事をシフト。以降、レコードやCDのジャケット、ファミリーレストランのメニュー、広告ビジュアルなど、あらゆるメディアで作品を描き続けている。
「皆さんの生活の中に自分の作品が溶け込んでいくのは嬉しいですね。まだまだやれていないことはたくさんあり、頭の中には常に次に出したい本の構想もまだたくさんあります」。
作品に登場する女性たちは皆、時代の空気を感じさせながら普遍性があり、生き生きとチャーミング。魅力的な女性たちの姿をどこでどのようにキャッチしているのだろうか。
「時代の気分は街を歩いていればわかるし、人と話をすればわかる。歳をとったら若い女の子の絵は描けなくなるというものではないと思っています。普通に現代を生きているという点では若い人も歳とった人も同じですから。日本ではアーティストは若けりゃいいという風潮があるけれど、アメリカのブルースマンなんかは70歳を超えてからが格好いいわけで、そういうアーティストになりたいですね。今後はもっといろんな世代、大人の女性や男性も描いていけたらいいですね」。
江口寿史さんの“相棒”である筆記具と、撮影の合間にシャルマン直営店の2階からスケッチした銀座の街並み。
今回着用したメガネはラ・カンパネラ コレクション XL11011 DB(取扱店舗限定商品)。オーセンティックなラウンドシェイプで、熟練職人の手磨きによるなめらかな丸みが魅力。赤みを帯びた艶やかなブラウンのフレームが高級感を際立たせている。
- 絵はスポーツのように鍛錬で上手くなる
イラストの仕事が主になった頃から、使う道具も変わった。
「つけペンは版下時代の漫画には適していたのかもしれませんが、いちいちペンに墨汁をつけるのが面倒くさいし時間もかかる。色を塗るのにも合わないので“ミリペン”と呼ばれるミリ単位の線が描けるペンをサイズごとに揃えています。筆ペンは数枚描くと筆先がつぶれてしまうので、いい状態のペンにはムーミンカフェでもらったニョロニョロを目印につけています。ミリペンも筆ペンも色々なメーカーのものをカテゴリーごとに試してベストなものを選んでいますが、あくまで僕にとって使いやすいもの。文房具は人によって相性があるので、特に人にお勧めはしません。筆ペンなどはもう20年以上同じものを使っているので、廃盤になったらどうしよう……とは思いますけど、まあ、つまるところ目と手さえしっかりしていればどんな筆記具でも描けることは描けるんですけどね」。
作品展のイベントで行われているライブスケッチで、下描きをせずに最初からボールペンで描くのは
「物を捉える時間を早くする練習のためです。僕は息をするように絵が描けるタイプではないし、自分では絵がそんなに上手くないと思っているくせに、地道な練習とか努力は嫌いでした。ところがね、絵もスポーツみたいに地道な鍛錬で上手くなるものだとプロになってから気づいたんですよ(笑)」。
愛用の筆ペンやミリペンで唯一無二の線を描き分けるように、かつては工程によって度数の異なるメガネを使い分けていたという。
「中3くらいから視力があやしくなり、授業中はメガネをかけるようになりました。常にかけているようになったのは漫画家になってからです」。
ご自身が描くイラストにメガネ女子が登場することも。
「メガネ女子、好きですから。レンズの厚みまできちんと描きたいというのがありますね。近視用のメガネだとレンズ越しの輪郭が歪みますが、そこまでリアルに描くのが楽しいんです。メガネをかけた人の横顔を描くときに漫画家によっては眼が見えなくなるからとメガネのツルの部分を省略する人もいますが、僕はあれが許せない。メガネまでちゃんと描きたいと思っています」。


- ストレスのないメガネが画業を快適に
ファンの間でもメガネがトレードマークになっている江口寿史さんのメガネのコレクションは50個以上。
「外すと顔が違って見えるし、度数が変わるたびに、似たようなタイプのものもまた買ってしまっています。でも、結局普段よく使うのは2、3個ですかね。長時間かけて作業をするには、疲れたり痛くなるものではダメ。ストレスのないかけ心地が大切なので」。
ラインアート シャルマンでは、8年の歳月をかけて独自に開発した「エクセレンスチタン」を使用。バネ性のある独自の素材がしなやかなフィット感を可能にした。
今回、江口寿史さんが出会ったタイムレスなデザインのメガネの印象は?
「かけ心地がいいですね。テンプル部分がカーブを描いていて頭を包み込む感じ。合わないメガネだと鼻に跡がつくことがあるのですが、これならその心配もなさそうです。ファッションの一部として服を着替えるように何個あっても欲しくなるのがメガネ。そこにストレスゼロのかけ心地が加わったら、色々と楽しめそうですね」。
2027年には画業50周年を迎える。
「誰かが何かやろうと言ってくれれば考えますが、自分ではそんなに意識はしていません。それよりも今は、体が動くうちに漫画を描いておこうという気持ちになっています。僕は40〜50代に怠けすぎてしまい、60歳を過ぎてから時間が残り少ないと感じるようになりました。漫画は作業そのものが大変だし体力も気力も使うし、辛いですが、その中で楽しみながら描いていければと思っています。

江口寿史さんにとって筆記具とは

江口寿史さんにとっての選び抜かれたペンたちがイメージを具現化する “相棒”であるように、ラインアート シャルマンはこれからも、すべての人に寄り添い、その人生を輝かせるパートナーを目指していく。

Photos:Yoshihito Sasaguchi(SIGNO)
Realization:Tomoko Shimizui
INFORMATION
「江口寿史扉絵大全集: COVER ART COLLECTION OF EGUCHI HISASH」
(2023年小学館刊)
『すすめ!!パイレーツ』『ストップ!!ひばりくん!』『「エイジ」』をはじめ、『パパリンコ物語』『ショー三部作短編集』『イレギュラー』までの、ほぼすべての漫画作品の扉絵を大集成し、江口寿史氏の「漫画における絵の歴史」が一望できる画集


PROFILE
1956年熊本県生まれ。1977年に週刊少年ジャンプにて漫画家デビュー。以後同誌で「すすめ!!パイレーツ」「ストップ!!ひばりくん!」などの作品を発表。斬新なポップセンスと独自の絵柄で漫画界に多大な影響を与える。1983年よりイラストレーターとしての活動も開始。ファミレス「デニーズ」のメニューイラスト(1992年から5年間担当し、2023年より復活)をはじめ、雑誌、広告、小説本の装丁、CDジャケット、アニメ映画のキャラクターデザイン等、幅広く手掛け、同時代のファッションやカルチャーを取り入れた作品群は幅広い層に支持されている。1992年、短編集「爆発ディナーショー」で、第38回文藝春秋漫画賞受賞。2015年からは『KING OF POP展』『彼女展』などの作品展を全国の美術館で数多く開催。2022年より秋田県の横手市まんが美術館に全漫画原画を収蔵。
江口 寿史
Hisashi Eguchi
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