中村 浩

レーザ微細接合開発担当

中村 浩

新素材のための新技術によるまったく新しいかけ心地

新素材エクセレンスチタンの開発と時を同じくして、レーザ微細接合開発担当の中村浩は、加工技術の研究に取り組んでいました。
「バネ性を特徴とする新しい素材の良さをメガネに生かすには、しなやかな素材の特徴を保ったまま加工することが必要です。しかし通常のメガネの加工には素材が加熱される場面が多く出てきます。特に、ロー付では接合部分を広い面積で加熱することによりバネ性が失われる心配がありました」。
近い将来完成するであろう理想の素材をデザインしメガネとして仕上げるに当たって、加工技術が足かせとなってはならない……。そこで中村が着目したのが、加熱の面積を最小限にとどめ、素材同士を直接接合するレーザ微細接合でした。大阪大学接合科学研究所との共同開発が開始され、試行錯誤の結果、新素材にふさわしい独自のレーザ微細接合技術が完成したのは、5年後のことでした。
「メガネフレームの商品開発をジャパンメイドの新しい取り組みと捉え、経産省や福井県までがサポートに乗り出してくださったのもありがたかったですね」。
レーザ接合にあたってはバネ性を保つことに加え美しさにもこだわったと中村は語ります。
「自動車など多くの工業製品では、使用されるお客様の目には見えない部分に溶接箇所があることが多いのです。でもメガネの場合は人目に触れる場所に接合面があるので、精度と強度に加え、より小さな面積で美しく接合することも求められました」。
そんな努力に応えて完成したラインアートの初代モデルは、細いワイヤーを組み合わせ、究極のかけ心地と美しさを兼ね備えたデザインでした。
「レーザ微細接合を生かしたデザインのモデルが出来上がり、開発した身としては本当に嬉しかったですね。だから僕は、それ以来、ずっとラインアートのメガネをかけ続けているんですよ」。

素材の良さを
最大限に生かすため
誠実で正確な
工法を極めます中村 浩